早朝、大勢の警官が来て呼び鈴を鳴らした話

早朝、大勢の警官が来て呼び鈴を鳴らした話団地住人の話

私が暮らしている貧困団地、今は静かになりましたが一時期は問題を起こす住人で溢れていました。
大音量で音楽をかける人、叫び声を挙げて暴れる人、壁を蹴り続ける人、早朝ベランダの仕切りを叩く人。
連日繰り返される迷惑で私も気が滅入っていました。

そんな頃に事件は起きました。

 

 

早朝の呼び鈴

呼び鈴を押す

ピンポン。

確かに鳴った。
寝ぼけた目で時計を見ると6時半。
どうせろくな客ではないし、同じ棟にピンポンダッシュする変人もいるので無視。
二度寝を決め込んだ。

しかし、どうにも部屋の前の様子がおかしい。
人の気配がする。
それはいいとしても、その気配が多すぎるのだ。

靴音がゴツゴツと重く響き、ひそひそ話も聞こえる。

なんだ?
不安で完全に目が覚めてしまった。

6時45分。
布団から出てシェードの掛かったすりガラス越しに外の様子をそっと伺う。

すりガラスの窓とサンシェード

大きな黒い人影が揺れている。
5人・・・10人?・・いや15人以上だ!

やくざ・・・?

いや同じ黒いベストに黒い帽子。

・・・警官だ!!

 

早朝に大勢の警官が来て私の部屋の呼び鈴を押した。
つまり・・・、そういうことだ!

 

 

俺が何をした!!

手錠

まずい!!
俺逮捕される!!

頭が真っ白になった。
なんで?
どうして?
いやいや俺、なんかした?
団地住人のうらみ?
ハードディスクのイケナイ画像?
じゃあ誰が通報した?
誰だ!!
なんでだ!!

2台のパトカーがサイレンを鳴らしながら近づいてきた。
団地の手前ですっとサイレンが消える。
ああ、目的地はこの部屋か。

私は居留守を決め込んだ。

逮捕の理由がわからないのでは証拠隠滅もできない。
外から見えない場所に隠れてじっとしていた。

鍵を壊されたら素直に従おう。

理由はどうあれ、逮捕された人というレッテルを貼られ、全てを世間にさらけ出すことになる。
俺の人生は終わった。

 

 

消えた足音

暗い団地の玄関

10分もしないうちに足音が減りだした。
ガラガラと台車の音が聞こえる。
ほうきで廊下を掃く音?

そして誰もいなくなった。

パトカーのサイレンは一切聞こえなかった。
諦めて帰ったか?
ひとまずほっとした。

よしチャンスだ、逃げよう!!

とも思ったが、なにかを運ぶ音が聞こえたのが気になる。

俺じゃないのかも。
そんな気がしてきた。

恐る恐る玄関のドアを開けて外の様子を見る。
いつもと変わらない汚い廊下が見えた。
人はいない。
帰りを待つ見張りもいないみたいだ。

俺じゃない!!
そうだと思ったんだ!!
知ってたよ!!

 

 

団地住人の逮捕

割れたガラス

夕方、住所でニュース検索をしてみるとその事件がでてきた。
同じ団地の住人が器物破損で逮捕されたニュースだ。

どうも深夜に街を徘徊し、特定の公共物だけ狙って壊していたらしい。
詳しくは書けないが、ポストとか公衆電話のようなものだと思ってください。
なぜそれだけを壊すのか?
単なる破壊衝動ではなさそうです。
病的なナニかを感じます。

その特定物に執着した犯行がニュースとして面白かったのでしょう。
全国ネットのテレビも取り上げており、そのキャプチャー画像には見覚えのある顔が。

あいつか!
廊下で鉢合わせになると身を捩って顔を隠し逃げるあいつか。

犯行に至った原因は仕事のストレス。
その原因はありがちだ。
しかし加えてテロリストやゲリラが口にするような反社会的な言動を繰り返しているという報道もでてきた。

おおコワ。
こんなヤツのすぐそばで暮らしていたのか。
やはり団地住人には極力不干渉でいこう。

 

ではなぜ警察は私の部屋の呼び鈴を鳴らしたのでしょうか?
おそらく「これから騒ぎが起きるかもしれないから出てこないで」という連絡をしたかったのかもしれない。
それでも早朝玄関開けたら警官がずらり。
それ心臓に悪いだろ。

 

 

犯行当日の団地

騒音で眠れない

数日すると追加の情報が流れてきた。
同じような被害が相次いだために警察が動き、1ヶ月半前の犯行がバレて逮捕されたとのこと。
現行犯でなかったところをみると防犯カメラに映っていたのかもしれない。

犯行の日、彼は団地でも問題行動を起こしていた。

深夜2時頃に大音量で音楽をかけて大騒ぎ。
その後、ハイテンションのまま部屋を飛び出し、明け方に帰ってきてまたドスンドスンと暴れていた。

基本我慢をする私でもさすがに堪えきれなかった。
管理会社に連絡するためにこの日の出来事を日付とともに記録していたのだ。
あー、あの日か。
部屋を飛び出してから帰ってくるまでの間に犯行に及んでいたのでしょう。

彼は深夜に似たような騒ぎを起こすことが度々あった。
その時も同じように犯行していたのなら相当な余罪がありそうです。

 

 

逮捕された彼の帰宅

団地のドア

彼は2日後の深夜に帰宅。
意外と早い。
逃げる心配なしと判断され勾留されなかったようです。

その後の彼の様子もやはり妙だった。
部屋から金槌でナニかを打ち付ける音がするように。

ただ深夜に部屋で大騒ぎすることはなくなった。

まあ私は夜が静かになるのであれば大歓迎。
この団地まともなヤツのほうが少ないしね。

これで一件落着。

 

 

・・・と思うだろ?

ところがこれで終わりじゃなかったりする。

逮捕された団地住人が崩壊していった話

 

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終末の団地より