これは団地ではなく、団地の近くにあるアパートの話。
そのアパートもやはり家賃が安く、綺麗とはいい難いいわゆる安アパート。
ふと目をやると・・・、
窓に虫
ある夏の夕方、そのアパートの横を歩いていると一階の端の部屋が目に入りました。
窓には白く薄いカーテン。
なにか小さい点が見えます。
もう夕暮れ。
部屋の光に引き寄せられて網戸にカナブンが付いているようです。
カナブンや蛾は私の部屋にもよく来ています。
稀にカブトムシやクワガタも飛んでくる田舎なので珍しくもありません。
しかし、よく見るとたくさんついていますね。
5,6・・・7・・。
あー、1階は大変だな、地面が近いとこうなるよね。
近づいてみると、
その虫はカナブンではなく、もう少し細長いあまり見かけない甲虫。
柄は違うがこんな形。
シデムシと呼ばれる甲虫だ。
しかも本当に沢山。
20匹、いやもっといる。
もうびっしり。
別に虫が苦手ではない私ですらこれはキツイ。
近くで大量発生したんだろうか。
・・・え!?
光に集まる虫
あれ?部屋の明かりは消えている。。。
部屋は様子が伺えないほど暗い。
向こうに西日に照らされた四角い窓だけが見える。
あとは真っ暗。
・・・ではなぜ虫が窓に集まるんだ?
違う・・・違う違う!!
うげぇ。。。
虫は網戸に付いているんじゃない。
窓の内側、カーテンに付いてるんだ!!
大発生しているのは部屋の中だ!
そうか、暗くなった部屋の中から明かりを求めて窓に集まっているんだ。
それに気づいたとき背筋にゾワゾワっと寒気が走る。
もう嫌な予感しかしません。
恐る恐る部屋を覗いてみると、腰丈の高さにある窓の下までゴミ袋が積み開けられています。
あーここゴミ部屋だ。
人はいるのかな。
まさか死んでたりしないよな。
「シデムシ」は死出虫から来ており、名前の通り動物の死骸に湧く虫だ。
どうするんだ、コレ。
通報してもただのゴミ部屋(?)なら野暮だよな。
部屋の住人に絶対に恨まれる。
死んでいたらまず通報者が疑われるし。
うわぁー、正直関わりたくねぇぇぇ。
うん、逃げた。
見なかったことにした。
ゴミ部屋、その後
とは言うものの気にはなる。
1カ月後、その部屋を覗いてみると・・・、虫はいない。
相変わらず荒れている。
しかしゴミ袋が少し減っている。
ということはこの部屋の住人は生きてるな。
あーよかった。
逃走した罪の意識が消えていきます。
ただのゴミ部屋なら無問題だ!
甲虫が産卵し成虫になる環境が部屋の中にあるってどういうことなんだろう。
しかもシデムシの幼虫は磯にいるフナムシによく似た形でかなり気持ちが悪い。
あんなものが部屋を這い回っているなんて・・・無理。
そんな目に遭うくらいならゴミ捨てるよ。